2017年7月26日水曜日

茶碗の底のおたのしみ


 ご飯茶碗を割ってしまったので買いに行きました。売り場でどれがいいかしらんと迷っていると、一緒に買い物につきあっていた相方のユクト君が「これなんかどう?」と選んでくれたのが、茶碗の胴体にナスやトマトの絵がついているというもの。


野菜栽培が好きな私にぴったり。ほんわかした絵柄でようございますなあと思っていると、ユクト君、「横だけじゃなくて、お茶碗の底にも絵があるでしょ。これがあったらご飯を食べ終わるのがたのしみになるんじゃないかなあ」ですってさ。
ソコまでは気がつきませんでした。見れば、茶碗の底にはほんにトウガラシが1個横たわっておられました。
 そういえば、売り場のこ子ども用茶碗の底にも、さまざまなキャラクターがついてるのが目につきます。お子たちのご飯がすすまなくて弱ったとき、「あと一口食べたら、アンパンマンがでてくるよ~」…てなオトナの配慮にもお役に立つというわけか。
するとユクト君、「あ、底に絵があるとたのしいのは、子どもだけでじゃなく、年配の人だってうれしいかも。」
はいはい、たしかに私、年々食べる量がへってきております。もしも、茶碗の底に見目麗しい殿方のブロマイドなんぞが貼られてましたならば、おめもじしたさでご飯をかきこむやもしれませんわな。
ちなみに、「ユクト君なら、どんな絵柄が茶碗の底にあってほしい?」とたずねますと、

「アンジェリーナ・ジョリー! できればカラーで」と、即答。さすが、オジサマ。

さらに重ねて曰く「できれば、女優さんは日替わりだったらもっとうれしいです。」(記:2015年2月5日)

にほんブログ村 イラストブログ イラストエッセイへ
にほんブログ村

2017年7月23日日曜日

泣く子と地頭には勝てぬ

2013年9月13日に書いたもの。まだゲーム機がゲームボーイだったりファミコンだったりで、今のように普及してない頃の実話です。

【その1:ゲームセット】


 休日、混み合った新幹線に乗ったときのこと。自由席は満員で通路に立つしかない。
こういうこともあろうかと持ってきたゲーム機を取り出してピコピコとゲームにいそしむ。

すると,となりにいた小学生のこどもが、
「ボクもゲームやりたい-、やりたいー!」といってぐずり始めた。

こんなとき、どうずればいいんだろう。
坊やがかわいそうだし,この騒ぎにつきあわされる他のお客さんにもご迷惑だから、ゲーム機をしまうのが妥当なところだろうか。
それとも、やさしく「よかったら、どうぞこれで遊んでね」とゲーム機を貸してあげるのか。

 だが、おいらの塩からーいノーミソは、こう叫ぶのだ。
(そんな泣き落としなんかにくじけるもんか。やめないぞ。絶対やめないぞ。だって、こういう混雑と退屈になりそうな状況を考えてわざわざ家からゲーム機を運んできたんだもん。やめない。絶対に遊び続けてやる!)

こどもの声「あーん、ボクもやりたい!」
お母さん「だめよ。よその人のものなんだから」
こども「だって、やりたいんだもん」…延々と続くやりたい攻撃。

あ~あ、根負け。ゲーム機をしまってふてくされ、ガキをにらみつける、ガキみたいなおいら。

【その2:ゲーム屋さん】

ゲーム屋さんで前から欲しかったソフトを手にし、レジでお金を払おうとしたそのときだった。
すぐ脇でウインドーをながめていたらしいこどもが、おいらにこういったのだ。

「あのね、そんな高いゲーム買っちゃいけないんだよ!」
おいら、しばし絶句。

なんとか切り返そうと返答を考える。
(あのな、これはな、おいらの甲斐性で買うんだぜ。「かいしょう」といってもわからんか。稼いだ金で買うってことよ。それがオトナの醍醐味ってもんよ。えっ? 「だいごみ」も知らん? それがわかるようになるのがオトナじゃ。あんたも、はようオトナになりーや。)
…てなことを思いついたが、さすがに口には出さないでおく。

 そのあとおいらは、買ったばかりのゲームソフトをこれ見よがしにこどもの目の前でちらつかせ、勝利のVサインをして立ち去る…はずだった。

 だが実際は、新品ピカピカのゲームソフトを大急ぎでカバンにしまい込み、子どものやけるような熱視線から目をそらしつつ、そそくさと店をでたのだった。

 さてそれからは、ゲームソフトを買うときや車内でゲームをするときには、あたりに子どもがいないかどうか確かめるようになったのである。
オトナになったなあ、おいら。

にほんブログ村 イラストブログ イラストエッセイへ
にほんブログ村