2017年7月15日土曜日

へそくりの思いっきりブルーな結末



4月のとある日。あろうことか、だいじにだいじにしまっておいた全財産がインクにまみれてしまっていた。
 どうやらしまっておいた場所がちょうどスタンプ台の近くで、そのスタンプ台の間にはさまっていたメモ紙にインクがしみこみ、さらに近くにあったお札にもインクがうつってしまったらしい。ほほう、これが毛細管現象ってやつかしらねえ。

いや、感心してる場合ではあるまい。えらいこっちゃ。どうするよ。ティッシュペーパーでふいてみたが、ペーパーには多少染みこむものの、ギラッとしたインクの青色はいっこうに消える気配はなし。
そうだ、こういう場合、たしか銀行に行けば新しいお札に替えてるくれるんじゃなかったっけ? よし、銀行へ急げ。
 銀行ではまず、通帳かカードをお持ちでないかと聞かれた。汚れたお札はその場で交換するのではなく、「いったん銀行が預かり、その後日銀に行って鑑定され、問題がなければお客様の通帳に入れる」というのである。


いやん、そんなあ、今日はそんなの持ってきてなかったし。仕方がない、家に戻って取ってくるしかあるまい。だが、今日はこのあと出かけるからまた明日にするか。
おっと、帰り際、窓口の行員さんに注意される。汚れたお札をサランラップで包んで持って行ったわけだが、3枚一緒に包まず、1枚ずつ包んでくるようにとのこと。数えるのに手間取るからだそうです。なるほど、お取り扱いの際にお手が汚れますものねえ。以後気をつけます。


 翌日、カードを持って銀行へ。だがしかし、カードじゃだめだった。「通帳でないとできません」だって。ええっ、そうなの。昨日伺ったときはカードとも言ってくれてたんだけど、あれは行員さんもあわててまちがえていたんでしょう。
かくして、再び家へ戻って通帳をにぎりしめてくる。
こうしてようやっと手にしたのが、「損傷通貨鑑定引換預り証」でございました。


届けたお金は、約2週間から1ヶ月の間に、わが口座に振り込まれるそうな。えーーーっ、それまでどうやって食いつなごう、とぞ思ふ。
なお、「この預証は全額を保証するものではありません」とのお言葉もいただきました。偽札だとか、損傷しすぎて鑑定できないとなったら戻ってこないのだそうです。うえーん、なけなしのお小遣いなのにぃ。
この日、わたくしは固く誓ったのであります。「へそくりはビニールかジップロックに入れておくべし」と。
さて、インク漬けになったお金はその後、通帳に戻ってくるかしらん?
(その25/記:2015年6月5日)

【後日談】
約3ヶ月後、無事3万円が口座に振り込まれておりました。は~、それまでの長かったこと。生きた心地がしませんでしたわ。

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壁に目あり 電柱に口あり

年の瀬もおしつまってまいりました。ちまたでは忘年会などで盛り上がっている今日この頃でありましょう。
さてさて,この時期。寒さも手伝い,うかれて飲んだお酒はいずれにか放出したくなるのが人間のカラダのつねというもの。 ふと見れば,いい具合に塀がある,電柱がある。で,まあ「この辺でちょっと」てな案配で用足しをしてお帰りになる。

さて翌朝。ここを通る人々が目にするわけでございます。夕べは雨も降ってないのに,不思議な水たまり。「なんだろなあ?」と近ず近づけば,異様な匂いにむせかえり,なかにはそれと知らずに,うっかり足を踏み入れてしまって愕然とする,なーんてことがままあったりするわけでございます。

 

そこで,このアヤシイ水たまり問題をばなんとか解決させようとみかねた方が,「貴方の後ろ姿は見られています」てなぐあいの味な表現の張り紙をしてくださる。しかし,なかなか効果がなかったりすることもあるようでございます。
さてさて,こんなとき皆様なら,どんな作戦をお考えになるでありましょうか?
及ばずながら,私もちーとばかり考えてみたんでございます。


 用意するもの

その1.玄関先などにとりつけてある防犯用のライト。
       人影に感知して点灯するというもの。
その2.電話案内音声をまねて録音したテープ。
      …これらをうまいこと合体して装置を作ります。

名付けて「塀にメアリー電柱にクチアリー」なんちゃって。
(これじゃ長すぎますな。ネーミング募集中です。)
【注】だたし,どうやって作ったらいいかわかりません。どなたか作成・送付して下さる方,熱烈歓迎。


使用方法

もよおしたい人物が壁や電柱などの所定の場所に来ると,人影を察知して防犯ライトが点灯し,同時に下記のような音声が流れます。

「ピンポンパンポーン♪
お客様のおかけになったお小水は,現在お取り扱い致しておりません。もう一度 しまいなおしてお帰りください。」


 

…とまあこんな作戦です。さて,効果のほどはいかがなもんでしょう?

この装置の欠点

「もよおしたい人物」かどうかにかかわらず,センサーの前に人影が現れると点灯・放送してしまうこと。そういうところは,玄関用防犯ライトと同じく,通りすがりの人までもびっくりさせてしまうのが残念なり。実現には,なおいっそうの研究を要すると思われます。

おしまいに

このたびは,まことにビロウな話題で恐縮です。じつは,近所に,そんな困った場所を丁寧にお掃除してくださっている方をおみかけしたもんで,なにかいいアイデアはと考えてみたしだいです。
(その24/記:2007年12月18日) 

 

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おがみ様

ちょいと,むかし。
海辺のちいさな町に,チビトモという子どもがいたそうな。
そのチビトモのひいばあちゃん,(といってもチビトモが生まれたときにはもう亡くなっている)は,「おがみ様」だったそうだ。

おがみ様とは,祈祷師の一種のようなものらしい。亡くなった人をしのぶときとか,海で漁をするときに安全を祈ってもらうとか。そういう人のことを地元では「おがみ様」と呼んでいた。

なんでも,チビトモのひいばあちゃんは,目が見えず,そのまた母さんのひいひいばあちゃんという人もやはり目が見えなくて,おがみ様をしていたそうである。つまり,おがみ様とは,目が不自由な人の職業でもあったわけである。


 さて,そのひいばあちゃんのおがみ様業だが,その当時は,たいそう繁盛していたらしい。

ばあちゃんの話によれば,「おらのおがさん(ひいばあちゃん)は,よく当たる人でねえ。おがみさ来てくれる人がいっぱいいたもんだよ。」という。

そんなわけだから,おがんでもらいに来た人が持ってきた食べ物やなにかで,戦時中でも広い家に住み,当時では珍しい,大正琴や蓄音機もあるような不自由のない暮らしをしていたそうである。


 ところで,あるとき,ばあちゃんはチビトモに,おがみ様だったひいばあちゃんがどんなに立派な人だったかを話してくれたことがあった。
なんでも,おがみ様ばあちゃんは,たいそう頭がよくて,いろんなことをとてもよく知っている人だったそうな。
目が見えないから出歩くことは不自由だったけれども,ばあちゃんの話をよく聞いて,そしてよく覚えていたという。

つまり,目の見えるばあちゃんがいろんな出来事や話を見聞きし,おがみ様ばあちゃんに話す。
すると,おがみ様ばあちゃんはとても覚えがいいからその話をよく記憶していて,祈祷の仕事におおいに役立つ。こうして,おがみ様は大繁盛というわけだ。

 また,当時地元では,海で漁をする人々がたくさんいて,小さい船をこいで出かけるような危険なことが多かったから,無事を祈ってもらうということがとても大事な時代だったらしい。そういうこともあって,おがみ様は,暮らしにかかせない役割を担っていたらしいのだ。


 さて,そんな腕利きのおがみ様ばあちゃんであったが,ひとつ,予想できなかったものがあった。
それは,チリ地震津波。この突然の大きな津波に襲われ,おがみ様ばあちゃんとばあちゃんは,命からがらなんとか丘の上に逃げおおせたものの,家も家財道具もほとんどなくしてしまったということである。

 ところで,チビトモの家には,おがみ様ばあちゃんの祈祷グッズが残っていた。水晶玉だの,ぜい竹だの,ノドに小骨が刺さったときに,これでノドをなでれば取れるという象牙の箸だの。
他にも何につかうのか,まが玉だの,さまざまな色の数珠だの。易学の書物だの。
津波にあっても,三種の神器だけはしっかり守ってきたのである。


そこで,せっかくこれだけのご祈祷グッズがあるのだから,ひまごのチビトモがおがみ様業をついでもよさそうなものであるが,どうもそのようにはならなかった。

それどころか,まるで反対の道へと向かっていた。

たとえば,だれかにお守りのお札をもらうと,中を開けたら御利益がなくなるというのにもかかわらず,どうしてものぞいてみたくなってしまう。「中には何か金ぴかの観音様のような神々しいものが入っているんだろうか?」と気になってしかたがないのだ。

こうなると,ためしてみないではいられない。
紙封筒入りのものは破り,もっと頑丈な透明プラスチックの,周りがパウチッコみたいにあっ着されているものでも,ハサミを入れて解剖せずにはおれなかった。

そうして,お守りというものは,
「中身はだだの小さいボール紙が一枚。それも裏が灰色の安っぽいぺらぺらのやつみたいなのが入っているだけなんだ」
ということを,つきとめてしまうような子どもに育ってしまった。


かくもまあ,おがみ様とは正反対のところに来てしまったのは,いったいなぜであろう?

それは,おがみ様業が,目の見えるばあちゃんの見聞で成り立っているという舞台裏を知ってしまったからなのか。
それとも,どんなに優れたおがみ様でも「チリ地震津波を予言できなかったではないか」と悟ったからか。

 いやいや,どうもそればかりではないようである。

チビトモの“視力が弱い”ところは,なるほどおがみ様ばあちゃんに似てはいるものの,肝心の「<物覚えがずば抜けて優れている>という,おがみ様業になくてはならない才能」が,皆無だった。
つまり,目のみならず,記憶力ノーミソも弱かったからにちがいないのである。
おがみ様になるのは,容易なことではない。

ところで,あの祈祷グッズだが,今も納戸にしまってあるそうな。
そのままにしておくのはもったいないが,どなたか,
「おがみ様」してみます?


「おがみ様ごっこ」をして遊ぶチビトモ
 (その22/記:2007年7月11日)

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2017年7月14日金曜日

ネクタイの花

左の写真は,食べこぼしのしみがついたり,すり切れたりして,だいぶくたびれたネクタイで作った花。光沢の美しさといい,縞の柄ぐあいといい,さすが元ネクタイ。布地が絹だけのことはありまする。
「くさっても鯛」とかもうしまするが,この場合「へたっても絹」というべきか。手芸などの飾り物を作るのが苦手な私ですが,えり元を飾ったネクタイ時代の後は,こうして花瓶の上でもう一花咲かせてみるのも,なかなかによいものだと思ったしだい。
それにしても,ネクタイを解体するのはおもしろうござりました。中身は,下の写真のようなごつい布が芯になっておりまする。
こうしてみると,この芯地とて,まだ白くてきれい。痛んでもおらぬ。となれば,いずれなにかしらのものに使えそうでありまする。新たな布地を貼り合わせて新ネクタイを作ってみるのもよし。ケガをしたときの包帯がわりにだってなるかもしれないではないか。だいじにしまっておこう。
かくして,またタンスのなんとやらを増殖させると危惧する声が…,聞こえてきそうでござりまする。 


 










ところで,花の出来映えは麗しいたたずまいであるのに,その下の花瓶がなんとも…。
もうすでにお気づきの方もおられるかもしれませぬ。じつは,花瓶は適当なものが見あたらぬゆえ,今は使用していない,キッコーマン印がついてる醤油差しの赤いフタを取って代用。
この醤油差し,ちょうど手で持つところがくびれており,いいあんばいにチビネクタイのおさまりをよくしてくれました。
というわけで,こちらも洒落た花瓶になったように思うのですが,いかがなものでござりましょう?

こうして,机の上のネクタイの花をながめつつ,
「ぼちぼちアタクシもウンジュッ歳のお年頃。このままボッしてしまってよいものか?
いいえ,まだまだこれからですとも。 そうそう,アタクシだって,もうひと花咲かせましょうぞ」。
…なあんて,ひとりほくそ笑み,気をよくしているお調子もんの私である。(その21/
記:2007年5月31日) にほんブログ村 イラストブログ イラストエッセイへ
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はじめての おつかい

テレビ番組に,「はじめての おつかい」というのがありました。
小さな子どもが,お家の人にたのまれてはじめておつかいに行くときの様子を見せる,日本テレビのドキュメンタリー風番組。
お子たちは,はじめてのことだから,失敗するし,おもわぬハプニングで困惑もしますが,なんとかやりおおせて無事帰宅の感動シーン。見ているこちらは,なにやら微笑ましくもハラハラし,ときにじわーんと涙を浮かべて応援するわけであります。

 ところで,その「おつかい」ですが,たとえば,ずっと会社にお勤めで,定年退職なさったおじさまが,奥様に頼まれて,はじめて「おつかい」なるものをおおせつかたったとしたら,どんなことになるんでしょう。

 じつは,この前,そのようなときの夫君の様子を,近所の井戸端会議で奥さんたちが話しておいででした。


A夫人「ウチのダンナなんか,卵買ってきてって頼んだら,10個のうち9個も割れてたんだよ。」

「うえーーーっ,なんで?」

A夫人「それがさあ,自転車のハンドルに,卵ぶら下げたまま運転してきたっていうんだもん。」

「そりゃ,つぶれるわ~」


 
 

 








B夫人「ウチのなんかね,サツマイモを一個買ってきてって頼んだのよ。そしたらさあ,帰ってきてこういうのよ。」

「えっ,なになに?」

B夫人「サツマイモたった一個だけかごに入れてレジに並ぶの,俺すっごく恥ずかしかったよ,だって。」

「へえ~っ,そんなことが恥ずかしいんだあ」
 


  
C夫人「私の知り合いの人のダンナさんの話なんだけどさあ。奥さんが銀行のATMでお金おろしてきてって頼んだら,ATMの前で一生懸命“電卓”の方を押してたんだってよ。」

「わっ! それじゃ,おろせませんて…。」

C夫人「でね。そのダンナさん,結局銀行の係の人に聞いてようやくお金おろしてきたんだって。まあねえ,そのダンナさんていうのは,普段体力勝負の仕事やってる人だから,デスクワークとかしたことなかったんだって。そりゃあとまどうよね~。」
 

 


…とまあ,そんな会話でありました。
いえいえ,おじさま方のみならず,私にも身に覚えのあるような「はじめてのおつかい 」の珍道中,事件続出のお話であります。
ところで,この井戸端会議ですが,ここまでで終わったわけではなかったのです。
そのつづきはというと…。

「ねえ,ねえ。こういうのはどう?『はじめてのおつかい おじさん編』ていうのをテレビでやるのよ~。」
「それ,いいじゃん。」
「おもしろいわ~。」
「これからは,お年寄りが多くなる時代だし,いいかも。」
「それでさあ,ダンナのあとをこっそりつけて,物陰からじーっとみてたりしてね。」
「ぎゃははは~。」
「気持ちわる~。」
「あれって,そういえば,ビデオを段ボールとかにしまって隠し撮りするんだよね。おじさんたち,どんなことしでかすのかなあ~。」
「きゃー,それってあやしいかも~。」
「わはは~!!」

…いやはや,さすが井戸端会議。みごとな盛り上がりをみせるのでありました。(その21/
記:2007年5月31日

 
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散歩人は見た

散歩人は「飲酒運転ナンバーワン」の代行を見た!の図
ぶらぶら,ご近所をお散歩していると,いろんなものを目にするんでございます。
「いつもこのあたりですれちがう灯油屋さん。ほら,あのイケメンのお兄さんの車に合わなかったけど,きょうはどうしたんだろう。もしかしたらこの近くに愛人さん宅があって,そこへ寄り道してるんじゃないの」とか。

「ここの建て売り住宅。完成したのにいつまでたっても販売の旗もなければ,住人の姿もないのはどうしてかしら? 犯罪組織かなんかのワケありの持ち主が,こっそり住むために建てたのかもしれないわね」などと詮索しながら歩くのはじつに楽しいもんでございます。

 それでね,このあいだも,アタクシ見たんですの。
代行のタクシー屋さんちの前を通ったとき,駐車している代行タクシーの車体の横に,こんな言葉が書いてあるんです。
「飲酒運転 NO1」。
どう思います?,これ。アタクシもう,びっくり。「ナンバーワン」とは何事ぞ。なんてふとどきなタクシーなんざんしょと思って,近づいてみたら,
「飲酒運転 NO!」。
N(エヌ)とO(オー)のあとが,「1」じゃなくて「!」だった!
エヌオーは,「ナンバー」じゃなくて,「ノー」だったってわけ。
まあ,アタクシったら,この頃目が弱ってきたみたいで…。
ほんとにどうもごめんあそばせ。
---------以上,「はやとちりナンバーワン!」の散歩人でした。(その19/記:2007年1月2日)
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机下の足下暖房法

しんしんしん…
冬,机の下が寒い。
すわってじっとしているところだけに,
なんとかして暖める方法はないものかと,
毎年さまざまな暖房方法をためしてきた。その模様をお伝えしようと思う。








1.長靴型スリッパ

★革製のスリッパ
底も側面も毛でびっしり
【長所】
・ はいたまま,足が自由になる。立ち上がってトイレにいくことだってできる。
  ただし,この長靴スリッパをはいたまま,トイレのスリッパをはくことになるの  で,トイレのスリッパが 大きくないとうまくはけない。)
・ 足の裏だけでなく,くるぶしあたりまでおおってくれる。
【短所】
・ 期待しているほどの暖かさがない。
・ かかとまではまあ暖かいが,ひざあたりはカバーできないのが残念。
・ 材質がボア製のものと革製のものをためした。革の方がずっとあたたかいものの,ちょっと玄関先まで出ようというときなど,脱ぎはきがめんどう。


…ああ,靴底と側面もあったかい室内靴,だれか発明してくれないもんかのう。
★ボア製のスリッパ
わりと安かった












2.レッグウオーマー
そこで,こんどはレッグウォーマーを自作。これでどうだ!
生地は,厚手の赤いキルティング地。レッグウオーマーをベルトでつり下げたみたいな構造。さながら,もんぺの足だけみたいなシロモノ。
見栄えからすると,たしかにすさまじいものがある。「ださいアイスホッケー用防御服」の感あり。
しかし,暖かさは上等。長靴型スリッパの上からこれをはけば,最強の暖を得られるのだ。さらに,腰のベルト部分には,はめはずしできるように,金属のバックルを装着。
なお,腰部が開いているのにはわけがある。
ズボンの上からはくのでもたつかないようにするためと,「股間が蒸れない」という,素晴らしい“知恵と技”の結晶なのだ。
 だが,悲しいかな,やはり脱ぎ履きに手間どるのだった。布団に入って,ちょっとごろんと横になりたいときなんかこの重装備では不便きわまる。
そういえば,脱ぐのももどかしくそのまま布団をかぶって寝てしまったこともよくあった。
 





足は、動いちゃいかんのです。
3.足温器
もはや自分の体温のみで暖をとろうというのは限界なのにちがいないと考え,電力に頼ることにする。
それには,ズバリ足温器でしょう!
さっそく購入。足の自由は制限されるものの,これはさすがにあったかい。心地よすぎて眠くなるほどである。
ただし,これも膝や腰回りはカバーできないので,毛布を腰に巻いて対処することにした。この毛布は,わざわざ新品を買い求めるまでもあるまいと,普通の綿毛布を巻いたら,えらく重い。立ち上がってうろつくと毛布はずり落ちてくる。何度も巻き直しをしなければならないはめになるのだった。


4.ミニホットカーペット
座布団がずれるのが玉にきず
そして今年,ホットカーペットを試みる。
小型のホットカーペットを足元に敷き,その上に座布団をのせるというもの。この「座布団」が実に効果的なのである。
カーペットと座布団の間に足をつっこんでいるので,足の甲のあたりも暖まり,足の動きも自由がきく。
ただし,膝方面のぬくもりはないので,毛布でカバー。その毛布も新調した。ユニクロの小型毛布。ヒートテックとかいう生地だそうで,メーカーによれば,なんでも「 体が発する水蒸気を吸収し、素材そのものが暖かくなる」のだそうだ。材質はアクリル60%・レーヨン40%
これは,綿毛布より暖かく,なめらかな肌ざわりとともに,軽い。お値段も軽め(3000円弱)。これなら,腰に巻いてもなんとか身動きがとれるというものである。 




5.あらたなる試み

ところで,まだ反射板みたいな暖房器具をためしていないが,どんなもんだろう?
あれを机の下の膝の前に置いてみたらどうか? あれはそもそもあったかいだろうか? じゃまにはならんのか?
…こうして来年も,さらなる机下足元暖房を求め,あくなき研究が続くであろう。

【追伸:研究のあとしまつ】
長靴型スリッパのその後。ボア製は,はきつぶして壊れた。革製品は室外用にはいてみたが,しょせんスリッパ,靴の中が広すぎてぶかぶか。室外を歩くには不向きらしい。しかもバックスキンゆえに雨に弱いときてる。でもじつはこれ,もととも室外用の靴として販売されていたものなんですけどねえ…。
はて,これじゃあいったいどこではけばいいのだあ?
といって,捨て置くにはもったいない。そこで,あったかさは間違いないのだから,散歩用としてはくことにする。ただし,厚い靴下で靴内の空間を調節し,「晴天」限定使用。

なお,自作レッグウォーマーは分解して使い道のない布きれとなっている…はずであるが,なぜか見あたらない。ドキッ!,すてたかも? ついで,足温器は只今押入の粗大ゴミ。

…というわけで,「研究にムダはつきもの」といいたいが,報われたらの話だろうなあ,たぶん。

 
 これは,綿毛布を巻いているときの失敗例。このときは革靴スリッパもはいていたから,玄関下駄がはきにくいのなんの。宅配屋さん,しどけない姿ですみませぬ…。(その18/記:2006年12月6日)

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生き物を育てるのが苦手。すぐ死んでしまうのがたまらないのだ。自分のせいだと悔やんで悲しくなるんだもん。
だが,ひょんなことから「まあ,ちょっとやってみてもいいか」と思い直し,家にある発砲スチロールを鉢がわりにして,ベランダ菜園を始めた。

 よいかげんに大きく育った頃,バジルの葉っぱに,ところどころ穴があいているのを発見。なんでだろうと思ってよくみると,毛虫が一匹ばくばく食べているではないか。思わず説教する。

「こらーーーっ!! これはアタシが車で土をドイト(近所のホームセンター)まで行って買ってきたものなのっ! タネだって,ネットで250円と送料もだして買ったもんなんだからね。水やりだってアタシがやってるんだし。アタシが育ててるものなの。だからあんたのもんじゃないのっ!! わかった?!」

だが,むろん毛虫は無視。
これだから,生き物を育てるのはイヤだっつうのよ。もうやんなっちゃう~!
あらっ? でもこれ,バジルはだめになるかもしれないけど,虫はすくすく育ってるわけですよね。私って,生き物育てるのじょうずかも? ちがったかしら。(その17/記:2006年8月17日)
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ぎっくり腰

 あれは,朝,ゴミをすてようとゴミ袋に手を伸ばしたときだった。ギクッと音がしたと思ったところで,それっきりまっすぐに立っていられない。身体が大きく右前に傾いたなりである。
ぎっくり腰とは,こういうどーってことない仕草で起こると聞いたことがあるが,まさにその通りであった。

 ところで,その日は人間ドックを予約していたから,このまま寝込むわけにはいかぬ。せっかくの予約と高価な検診代がもったいないし。
 で,その腰のまま電車に乗り検診先へ。車中では立っているほうがバランスを保てる。椅子に座ると振動がこたえるのだ。かくしてなんとかたどり着く。


 だが問題はそれから。胃の検査。
バリウムを飲んだ後,戸板につかまり棒がついてるだけのような台に立ち,「右を向いて」「背中をまっすぐに」といわれても,この腰ではお応えしかねるありさま。おまけに,戸板が水平方向に倒れていったときには,頭からずずずと滑り落ちていくではないか。こうなると棒につかまった腕だけが頼り。せめて頭部付近にストッパーでもあったなら,腕と頭の三点で支えることができようものを。


 さらに,直腸検診。いつもなら,終わるやいなや脱がされたズボンをさっさと上げて立ち上がり,ホッと胸なでおろすのに,このたびのふがいない腰はまったく持ち上がらんのだ。そこでまたしても腕力勝負。ズボンを無理矢理ずり上げ,上半身も腕立て伏せのように手でずるずるともち上げて,ようやくベットからおりる。だが,上げそこなったパンツがズボンの中でちゅうぶらりん。シリが,さ,寒いっ!
まあそんなこんなでやっとこさのドックであった。思えば,ギックリ腰になるにはなるだけの条件がととのっておった。

<その1> 朝,まだ寝起きで身体がぼーっとしている時間帯。
<その2> 検査用のウンチ君を採集すべく,下腹を冷やせばもよおすであろうと,         パジャマをめくってしばし冷却。
        おかげで採集には成功したものの,腰部も冷却。
        その冷えた腰で,ゴミ袋に手を伸ばす無防備な中腰体勢に入ってしまっ         た。
<その3> ふだんから,長時間机に向かったままの姿勢でいるので,腰にはじつに        よろしくない姿勢。
        …おそらく,そんな条件が重なったのではないかと思われる。
【心得】
 てなわけで,かような事態に頼れるのは,ケガ以外の部位の筋力。ゆえに「日頃からよく筋肉を鍛えておくべし」とさとったしだいであります。でもこれって,ちょっと良くなったら忘れるんだろうなあ,たぶん。(その15/
記:2006年8月17日
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じいさんのお年頃




『ゆうたくんちのいばりいぬ』(きたやまようこ作/あかね書房/定価714円:本体680円+税)というシリーズものの絵本があります。

おれ,いぬ。-------------------おまえ,にんげん。
おまえ,ぱんつはく。------------おれ,はかない。
おまえ,くつはく。---------------おれ,はかない。
おまえ「おはよう」。--------------おれ「わん」。
おまえ「いただきます」。----------おれ「わん」。
…とまあ,こんな感じでたのしいお話が続きます。

このいばった犬のセリフがいいなあと思いました。そこで,もしかしたら,おじいさんがいばりいぬみたいに何かお話してくれたらおもしろいかもしれない,そんなことを思って,この絵本のまねをして『じいさんのお年頃』という絵本風のものを作ってみました。
この『いばりいぬ』の“おじいさん版”を考えたのは,藤森行人(ふじもり ゆくと)さんです。ご本人もぼちぼち「お年頃」にさしかかり,なにやら感じ入るところがあったのかもしれません。

「おじいさん的発想がなかなかおもしろいぞ」と,そんな感じにできたらいいなあと思っているのですがどうでしょう。

なお,ここに登場する「じいさん」は,他にもいろんな場面で何かセリフをいいそうな気がします。もしまたそんなことを思いついたら,お話を書き足していきたいなあと思っています。

なお,『じいさんのお年頃』を作るときに,「西多摩仮説の会」(「仮説実験授業」という科学の授業をたのしむ人々のサークル)の参加者のみなさんにいろいろなアイデアや,おじいさん,おばあさんにまつわるたのしいエピソードを教えていただきました。ありがとうございます。
(その15/1998年11月20日初作成/2006年5月13日書き直し)

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としつき

いつのまにやら新学期が始まってしまったようで,遅ればせですが,この間見かけた春の風物詩みたいなワンシーンをちょこっと。
絵は,入学式をすませたらしい兄妹のお子さん二人。
こちらの親子さんもそうでしたが,この頃はセレモニーといえば,ブラックフォーマルウエアーなんでしょうか。そのいでたちで道行く人をずいぶん大勢おみかけしました。

 さて,絵の妹ぎみの口元にご注目。おしゃぶりをくわえておいでですが,これも白と黒のフォーマルカラー。そのせいか,おしゃぶりが,一見,コサージュみたいなアクセサリーに見えなくもない。
さらに,白黒という色がきちんとしたよそゆきの感じをもたらし,おしゃぶりをくわえているのに,「オトナの女の子」とでもいうような不思議な印象をもつ。こんな色を選んだのは,もしかすると,おしゃぶりをするには,ちょっと大きくなってしまったお子さんへの親心かも。

それにしても,お兄ちゃん君のシャツがブレザーからだらーんとはみだしちゃっているとか,おしゃぶりの色はともかく,これを離さずにはおれない妹君ってとこが,昔も今も変わらぬ,幼き頃の姿だなあと思ったしだい。

 そういえば,保育園に勤務していた頃。前髪の辺りを一つに結ぶ“チョンチョロリン”をして入園してきた「男の子」がいた。同年齢のお子さんより頭一つ分ぐらい大きくて,そうやって髪を結ってもらうのが大好き。リボンを結んであげると,お風呂に入っても取りたがらず,翌日もそのまんまでお越しになる。「てんてー,バンドエイドあってー!」。ケガをしなくてもバンドエイドを貼る。ほっぺにチューするのが得意技。
あれから,20年余り。今ごろどうしておいでだろう。もしかすると,今でも髪を結び,リボンをつけるのが好きな,身の丈のスラリと美しい☆青年☆かもしれない。桜咲き,ほっぺをなでつつ物思う春でござんす。 

【追伸】
「ブラックフォーマルウエアー」を着るようになったのはいつ頃からだろう。ちょっとおもしろいホームページがあったので,下記に紹介いたします。
【ホームページ】…マナ板の鯉
タイトル→ブラックフォーマルというオリジナルを生んだ「イギン」の強さ

(その14/記:2006年4月17日
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寝ころんで役に立つ


扇風機の活用法をひとつ。
これを横に倒して天井に向けて回す。すると,左図のように空気が移動し,室内全体が暖まるという仕掛けなり。
これがなかなか快適。この冬はことに寒くてエアコンのお世話になっているので,いっそうこの横倒し扇風機が活躍。
 だが,扇風機のこういう使い方を初めて見たときはびっくりした。
それは冬のある日,仮説社という出版社に行ったときだった。なにげなく椅子に座ろうとして足に何かがあたり,あやうくこけそうになる。見ると床に扇風機がごろんところがっている。
「なんだって今時分までこんなものを出したままにしておくんだ? 忙しくてしまいそこねたんだろうか? しかも電源が入って回ってるじゃないか。なんてもったいない!」。

 そんないぶかしげなおももちでいると,横倒し扇風機の張本人=じつは偉大な考案者の吉村七郎さんがおいでになり,「びっくりしたでしょう」と,なにやらいたずらっぽい笑顔。

ことのしだいを明快に解説して下さった。温度計を設置し,<扇風機を回した場合とそうでない時の温度差の実験結果つき>なのである。おおー!と感心納得。これじゃあ,冬の間扇風機を押入にしまいこんで置く方がうんと「もったいない」ことになるではないか。

 それにしても,「横の物を縦にもしない」とかいうが,「縦のものを横にしてしまう」発想の転換にびっくりである。

 そんなわけで,うちでは只今「快適!扇風機横倒し作戦」を実施中。もしよろしかったらおためしを。
なおその際,もしもお家にお客様がみえて,横たわる扇風機の風情をご覧になり,「ドキッ」としているのをみてとったら,すかさずおおいに温度自慢をしてみてはいがかでしょう。たのしいいたずら気分が味わえるかもしれませぬ。

 それにしても,寝ころんで役に立つとはうらやましい。私もこたつで寝ころんでるだけでなんぞの役に立つってことはないものだろうか。
いえいえ,扇風機殿は横になってまでも回転仕事をしている勤勉君でしたわい。こりゃどうも失礼しました,ハイ。(その13/
記:2006年2月26日
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